一番摘みの「旬等級」だけを炙った「焙煎海苔」

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商品名は「焙煎海苔」。海苔の焙煎!? と不思議に思う人がいるかもしれませんね。
その名前には、従来の海苔のイメージを変えたいという店主・荒牧智大さんの思いが詰まっていました。

海苔屋のりまき

店主の荒牧智大さん。店内壁面の色は海苔をイメージしている

有明海苔の一大産地・柳川に海苔屋をオープン
有明海でとれた海苔を販売する「海苔屋のりまき」。
長年、漁業協同組合に勤めた店主の経験を生かし、新しいタイプの海苔屋として2022年にオープンしました。

海苔屋のりまき

国道208号のモスバーガー横から入り、奥へ進むと店があります

有明海に面する柳川市は海苔の一大産地。その美味しさは全国屈指を誇ります。
しかし、柳川の人は身近に海苔があるためか、あまり食べないという人も多いのだとか。

海苔漁師でない柳川の人は、本当に“美味しい海苔”の味を知っているだろうか…。
そんな荒牧さんの疑問からこの海苔屋は生まれました。

海苔屋のりまき

板海苔や焼海苔などの他、ドレッシングや醤油など地元商品が並んでいます

組合名、等級、生産者を掲示し「味」にこだわった店
店内には、出荷された組合と等級の書かれた海苔が並んでいます。
価格別に海苔を陳列する店が多い中、ここでは組合名、等級、生産者名(漁師の名前)をしっかり掲示しているのが特徴です。

海苔屋のりまき

陳列棚の海苔には、組合名、等級、生産者名が記されています

荒牧さんがこだわっているのは、海苔の「味」です。
“美味しさ”にこだわっているため、海苔の見た目よりも生産者に注目しています。

海苔について少しお話しすると、等級は、組合に出荷された海苔の色や厚さ、穴の有無などから特等、1等、2等、重1等、○(まる)1等などに細かく分けられます。

海苔屋のりまき

等細かく分けられた等級が示されます

各等級の価格は、業者の入札によって決まります。
入札価格はいつも同じではなく、品質や枚数、時期などの関係によって変わります。A組合の1等よりB組合の2等のほうが価格が高いということも珍しくありません。

海苔は収穫から乾燥まですべて海苔漁師が行います。ですから品質は、天候にもよりますが、普段の手入れや収穫のタイミング、乾燥の仕方など、海苔漁師の腕にもよるといえます。

荒牧さんは自ら海苔漁師のもとへ足を運び、収穫時や乾燥時の海苔を見て、信頼のおける海苔漁師の海苔、それも一番摘みの海苔だけを仕入れるようにしています。

中でも認定品の「焙煎海苔」は一番摘みの数%にしか与えられない「旬等級」の海苔を使い、店内で炙って焼海苔にしています。

海苔屋のりまき

認定品の「焙煎海苔」は店内で炙った焼海苔です

購入後に炙って焼き立てを味わえるため「焙煎」という名に
“焙煎”と名付けた理由は、「自分好みのコーヒーを淹れてくれる“コーヒーショップ”のイメージにしたかった」からです。

海苔屋のりまき

日本家屋風の店舗に「海苔焙煎所」ののれんがあります

この店では、自分の好きな海苔を購入したら、その場で炙って密閉してくれます。そのため風味を損なうことが少なく、海苔の “焼き立て”を味わうことができるというわけです。

海苔屋のりまき

店内の一角で購入(注文)後に”焙煎”するため、焼き立ての風味を味わえます

そして、もう一つの特徴は、「味見」ができることです。塩味や味付きの商品がありますが、試食では海苔本来の味がわかるように、味のついていない海苔を試食してもらっています。

食べ比べてみたら、一番摘みだけにどれもやわらかく、品質は抜群! 等級によって舌触り、口溶けが微妙に違い、等級や価格の違いによる味の違いを知ることができます。

海苔屋のりまき

炙ればよりいっそう香りが立ち、風味豊かな味を楽しめます

海苔は脇役のため、購入予算を抑え気味ですが、「海苔本来の美味しさを知って脇役にも目を向けてもらえれば」と、荒牧さんは期待を込めて話します。

海苔本来の美味しさを知ってほしい
近年、海苔の不作や漁師の高齢化等によって海苔の出荷量は減少しており、味を知る人が減っていくのではないかという危機感もあって「地元の方々を中心に、特に若い方に海苔の美味しさを伝えていきたい」とも話します。

名称やパッケージに工夫を凝らし、新しいイメージで売り出した「焙煎海苔」。認定品は小ぶりのために買いやすく、手土産にも最適です。
どうぞ手に取ってみてください。

一番摘みの「旬等級」を使った「焙煎海苔」

■DATA
○商品名:焙煎海苔
◯価格:750円(8切40枚・税込)
◯取扱店:海苔屋のりまき(地図)、ネットショップほか
◯お問合せ:海苔屋のりまき TEL 0944-88-9496 ホームページ
◯企業概要:理念は「三方よし」。生産者のこだわりや苦労、美味しさへの思いをお客様に伝え、お客様の「美味しかった」の声を生産者に届ける。その橋渡しをしていきたいという。

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投稿者プロフィール

ツツミ
ツツミ
柳川市大和町出身。幼少の頃は体が弱くて本がお友達。以来、書くのが好きになりました。リズムを意識した文章で柳川の“わくわくドキドキ”を発信していきます。
(写真はパワーチャージ中)