こんにちは。特派員のツツミです。
外出自粛中、インターネットで本や漫画、
映画を楽しんだという方も多いでしょうね。
「柳川」を舞台にした映画は数多くあります。
有名なのは、高畑勲監督・脚本、宮崎駿製作の
『柳川堀割物語』ですね。
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映画は1987年に公開されました(写真/柳川堀割物語DVD)
柳川を訪れた高畑監督が
掘割の水が汚れて大きな問題になっていたのを知り、
当初の予定を変えて
水や自然、そこで暮らす人々に焦点をあて
たっぷり時間をかけて撮影したと聞いています。
この映画は、実写とアニメによって
干拓の仕組みや掘割の機能、水との共生などが描かれ
わかりやすくて、柳川を知るには絶好の映画といえるでしょう。
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今では毎年、掘割清掃が行われています
街や生活の様子は時代とともに変わっていくため、
当時の様子を収めたこのような動画は、今や貴重です。
お亡くなりになる直前の柳川での講演を聞くと、
高畑監督にとっても思い出深い作品のようでした。
私は外出自粛中、『廃市』を読み、DVDを見ました。
ずいぶん前ですが、年上の女性から
こんな言葉をかけられたことがあります。
「柳川って、いいところね」。
その人の好きな小説が『廃市』でした。
彼女にとっての柳川のイメージは『廃市』なのです。
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掘割のあるまちが舞台
『廃市』は福永武彦の小説で、
大林宣彦監督によって映画化されています。
小説は、冒頭に北原白秋先生の『おもひで』の一節を引き
「廃墟のような寂しさのある、ひっそりした田舎のまち」を舞台に
男女の機微を美しい文体で表現しています。
掘割のゆらゆらとした水のゆらめきと、街の静けさ、
「こんな死んだような街、大嫌い」というセリフが
退廃的でロマンティックな雰囲気。
小説に柳川の名前は出てきませんが、
大林監督は柳川で撮影を行っていて、
映画は小説の独特の世界を見事に表しています。
小説も映画も、ホント良い作品ですね。
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小説・映画ではお祭りのシーンも‥
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文学の似合うまちです
映画のロケ地を巡りたいところですが、
撮影から35~36年経った今では、
その面影を探すのにひと苦労しそうです。
映画のワンシーンになっている旧柳河駅は今、
写真のように公園になっています。
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旧柳河駅は現在、公園に
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列車が通っていたとは思えない景色に様変わり
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当時の様子は公園内のパネルで知ることができます
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大川市に向かうと、線路の一部は昇開橋として残っています(瀬高町と佐賀市を結んだ佐賀線・昭和62年廃止)
この他にも、
白秋先生をモデルにした映画『この道』や
葉室麟氏の小説『無双の花』など、
柳川やゆかりの人々をテーマにした映画や本があります。
これらをかたわらに「おうちで柳川」をお楽しみください。
そして新型コロナウイルスが落ち着いたら柳川を訪れ、
作品で感じた柳川を実感してみてくださいね。