こんにちは。特派員のツツミです。
有明海で海苔漁が始まる中、
ガンバ釣りに出かけました。
今日はガンバを紹介しましょう。
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見た目はちょっとグロテスク
聞くところによると、
ガンバのガンとは棺桶のことらしく、
バは「~を」の助詞。
つまり、ガンバは
「棺桶ば置いて食べろ」という意味の
魚なんだそうです。
何の魚か、分かりましたね?
そう、フグ!
有明海では小さめのフグを
「ガンバ」と言います。
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有明海の「ガンバ」
昔から有明海はガンバの漁場。
祖父の代からハゼ漁をしてきた
実家の話では、さまざまな魚と一緒に
ガンバも網にかかっていたとか。
大きなフグの皮は
太鼓にして遊んでいたんだそうです。
今ではハゼ漁は海苔漁に変わり、
近所でガンバを獲る人といえば
趣味で釣りに出る父くらいです。
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早朝から海へ!
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近くでは海苔の手入れが行われています
この日は朝7時に出航。
30分程走らせた沖で船を止め、
いよいよ釣り糸を垂れます。
エサはエビ。
道具は、釣り竿ではなく、
円錐状の釣り針に
タコ糸のような糸をくくり付けた
シンプルなもの。
その上部にエビを刺し、
海にポトンと落とします。
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ガンバの釣り針
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糸を垂れてジッと待つ
仕掛けは簡単ですが、
釣り上げるのは難しい。
ご存知のように、フグはおちょぼ口。
エサにガブリと食いつくわけではありません。
鋭い歯でエサを食いちぎっていく、
という言い方がいいかもしれません。
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おちょぼ口だけど歯は鋭い
ですから、
エサをツンツンとついばみにきたところを
すかさず引き上げることになります。
針に腹を引っかけるイメージですね。
エサを食いにきたか、どうか
計るのは指先の感覚のみ。
少しでも引き上げるタイミングがずれれば、
ガンバはあっという間に逃げてしまいます。
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糸を垂らすだけのシンプルな釣り。指先の感覚で引き上げるのは難しい
60年以上も海と付き合ってきた父。
そのあたりはさすがにうまく、
何匹となく引き上げます。
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よく釣れるもんだ
私なんて、何度水面で逃がしたことか。
それでも何と、人生で初めて
1匹釣り上げました!
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初めて釣り上げたけど、小っちゃい!
しかし、この日はあまり釣れず、
3時間あまりで釣果は10匹程度でした。
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干満があるため釣りは2~3時間
父の釣ったガンバはトラフグ?
有明海にトラフグなんていないでしょ?と
思っていたのですが、
ネットで調べたら
有明海はトラフグの産卵場の一つのよう。
近年、フグの漁獲高は減り、
県によっては種苗放流を行っている様子。
改めて有明海の漁場は大切にして欲しいと
思った次第です。
ガンバは
漁師が自分の責任において
食べる分には良いとされています。
そこは魚の性質を熟知した漁師、
皮も肝も絶対食べません。
「とにかく綺麗に洗え!」と言われ
身に血が残らないよう、丁寧に洗います。
刺身にもせず、醤油の煮付けのみ。
亡き祖父からは
「後炊き(あとだき)はナス」と
教えられたため、ガンバを煮た後は
残った醤油でナスを煮ます。
何故、ナスなのかは分かりません。
もしもの毒消し!? 単なる好み?
見た目はイマイチですが、
ガンバの煮付けは美味しいんです。
ダシが出るので味噌汁にしても美味しい。
まさに漁師メシです。
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頭を取り除くと、見た目もいいかな。こちらはシマ模様のガンバですね
ガンバは、柳川市内では
有明海料理を提供している
「つむら」さんで味わえます。
ご主人の話では
湯引きした身をポン酢で食べたり
唐揚げをダシ醤油で食べるだとか。
やはり漁師メシとは違って
上品な食べ方ですね。
冬が旬ですから
一度、食べてみてください。
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ちなみに、イイダコも美味しいですよ
■つむら
○住所/柳川市本城町51-1
○電話/0944-74-0655
○営業時間/11:30~15:00
(夜はご予約ください)
○休み/不定