スポーツの秋になりましたね。
こんにちは、特派員のツツミです。
今回は、卓球の話をしましょう。
少し長くなりますが、おつきあいください。
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「森杯」のひとコマ
「チョレイ!」の掛け声でおなじみの男子選手をはじめ
卓球の世界では、高校生を中心に若い選手が大活躍です。
彼らは小さい頃からクラブなどで腕を磨いてきました。
ここ、柳川には民間クラブこそありませんが、
昔から部活動の卓球が盛ん。
卓球界で注目される人物を輩出し、
中学生選手の腕を磨く卓球大会が26年も行われています。
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26回目となる中学生の卓球大会
大会の名前は「全九州新人中学生卓球大会 森杯研修会」。
「森杯」の名前は、
柳川市近郊の公立中学校で熱心に指導し
多くの選手を育てた故・森雄三郎先生に由来します。
教え子の一人は元日本チャンピオンで
ソウル、バルセロナオリンピックに出場した渡辺武弘さん
(もちろん柳川市出身)。
渡辺さんは現在、女子ナショナルチームのヘッドコーチですから
国際大会のTV中継等でその姿を見るかもしれませんね。
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元オリンピック選手で現在、卓球女子ナショナルチームのヘッドコーチ渡辺さんは、大会のシンボル的存在
その「森杯」は
平成5(1993)年から毎年1回、秋に開催され、
今年(2018)は9月17日(月・祝)、
柳川市民体育館で行われました。
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男子25校、女子24校が集結
会場を覗いたら、あどけなさの残る顔に
やや緊張気味の中学生がズラリ。
それもそのはず。
「新人」の名が示すように、この大会は
3年生が第一線を退いた後、
次の主要メンバーとなる
1~2年生を中心にした大会だからです。
聞けば、柳川市内はもちろん、
北九州市や福岡市、太宰府市、
遠くは大分県別府市、中津市、
長崎県佐世保市、長与町などから
今年は男子25校、女子24校が参加しているとか。
その中には、
今年夏の全国大会男子団体で準優勝した
大分県・明豊中学校もいます。
(学校によっては小学6年生の姿も‥)
公式戦でないのに
九州でしのぎを削る強豪が集うのは、
ここが新チームのスタートだから。
対戦によって選手、監督それぞれが
自他のレベルを認識し、
今後の強化策を練ることができるからです。
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明豊中(黄色ユニフォーム)に挑む九州のライバルたち
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会場には旗がはためき、公式戦さながら
ある学校の監督さんは
「この大会はチームの今後を占う大事な大会。
他の試合に出なくても、これには絶対出る」と
おっしゃっていました。
「ここで準優勝したことでチームに弾みが付き、
県大会、九州大会へとコマを進めることができた」と
喜ぶ監督さんもいました。
どの監督さんも「ありがたい大会だ」と話し、
「このために夏休みの練習を頑張る」のだそうです。
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大分、長崎、佐賀からも参加。学校行事で参加できない学校もあり、日程の調整が難しいとか
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親御さんの応援も力が入ります
この大会の特徴は、
試合に負けたらハイ終わり、でないところ。
負けた後も空いた卓球台で練習試合ができ、
監督同士の情報交換もできます。
だからこそ「研修会」の名前がついているのです。
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卓球台34台と別室の練習場を用意。負けても、申し合わせして次々と対戦し腕を磨きます
大会は、中学生選手の育成を目的に
故・森先生と妻の茂子先生によって開催され、
茂子先生とかつての教え子たちの手弁当で運営されています。
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森茂子先生(右2人目)と、教え子で運営ボランティアスタッフの皆さん
始めた当初は夫婦で九州各地の学校を車で回り、
参加を呼び掛けてきたとか。
83歳になる茂子先生の情熱はいまだ衰えず、
各地の試合結果はチェックしておられる様子。
この大会でも目の前の戦いをジッと見つめては
「よく粘っている」と嬉しそうにつぶやいておられました。
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選手たちの熱戦を見守るスタッフの皆さん
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決勝の審判はスタッフが務めます
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優勝した大分県明豊中学校の男子チーム
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優勝した大分県明豊中学校(奥)、準優勝の福岡県上毛中学校(手前)の女子チーム
この「森杯」に出た選手が後に
大きな試合で活躍するのを見ることもあるのだとか。
しかし、誰もがオリンピック選手になれるわけではない。
自分1人で勝てるわけではない。
試合に勝てばいいというものでもない。
練習や大会を通じて、人生に必要な礼儀や
協調性、社会性を身に付けて欲しい。
「それを夫は望んだのではないでしょうか」。
森雄三郎先生はお亡くなりになりましたが、
その思いはこうして継承されています。
部活動を経て
仲間やライバルとの戦いを経て
この柳川の小さな舞台から
中学生たちのどんな才能が花開くのか。
楽しみでもあります。
※「森杯」は来年(2019年)も秋に開催予定です。
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男子団体決勝トーナメント結果
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女子団体決勝トーナメント結果
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青春だなぁ‥。みんなガンバレ!