腹痛に梅酒って⁉

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こんにちは。特派員のツツミです。
節分を迎え、暦は立春です。
気持ちを切り替えて頑張っていきましょう!

さて、今回は”菌”のお話から。
柳川をはじめとする筑後地方には発酵文化があります。
味噌、醤油、日本酒のメーカーがあり、昔は「柳川杜氏」とよばれる酒造り集団がいて各地の酒蔵に出向いていました。
私の親戚筋にも醤油蔵や、柳川杜氏として酒蔵で働いていた人がいたようです。
日本酒の蔵は今、いちばん忙しい時期ですね。

柳川酒造さんの日本酒

“菌”の力による発酵というのは、まさにサイエンス! 奥深くて面白いですよね。
柳川の発酵文化にもっと注目してほしいなと思います。

発酵とは少し違いますが、子どもの頃「腹が痛い」というと、祖父母などから「梅焼酎を飲め」と言われ、ほんの少しの梅焼酎を飲まされました。
当時、夜遅くに開いている薬局はありませんでしたからね。
飲めば治まったようにも思うし、単なる気休めのようにも思ったものです。

なぜ、腹が痛い時に梅焼酎だったのか。
今までまったく理由がわからなかったんですね。
ところが先日、やっとわかりました!

昨年末、福岡市科学館で行われた日本農芸化学会の「サイエンスカフェ」を聴講したときのこと。この日のテーマは、ヨーグルトでおなじみの”乳酸菌”でした。

ご存じの方も多いでしょうが、乳酸菌には抗菌作用があり、口腔用天然抗菌剤として、飲み込んでも大丈夫な歯磨き粉の商品化に結びついているとのことでした。

講師の善藤威史先生(九州大学大学院農学研究院 准教授)の説明は丁寧で素人にもわかりやすく、ふむふむ、と聞いていた私。思わず背筋が伸びたのは、次のような話を聞いた時です。

「乳酸菌が作る天然抗菌剤のナイシンというものに『梅エキス』を加えると、大腸菌に対して相乗効果があり‥云々」。
えっ!梅エキス⁉ 大腸菌⁉

私は幼少の頃を思い出し、興奮気味にアンケート用紙に書きましたよ。
「子どもの頃、お腹が痛いときに梅焼酎を飲まされたのは、抗菌作用があるからでしょうか? 梅エキスは梅焼酎とは違うのでしょうけど‥」

何と、先生から返事が来て驚きました。
説明がとてもわかりやすいので、そのままご紹介しましょう。

「梅エキスは梅干しや発酵したものから作られたのではなく、生の梅から抽出されたものです。抗菌作用をもつクエン酸を豊富に含みます。

しかし、ナイシンとクエン酸の組み合わせよりも、ナイシンと梅エキスの組み合わせの方が、抗菌作用が強いことがわかっており、クエン酸以外の成分(ポリフェノール類など)も相乗的に作用していると考えられます。梅焼酎には梅エキスと同様の成分に加え、抗菌作用をもつエタノールが含まれています。

おそらく、これらの物質が相乗的に作用し、腹痛の原因となる細菌を弱らせているのではないかと思われます」

なるほど~。ガッテン!ガッテン!
菌とうまく付き合ってきた先人の知恵だったのかもしれませんね。
私は長年の胸のつかえが取れてスッキリ!です。

もちろん、梅焼酎がどんな腹痛にもいいというわけでなく、病気が治るというわけではないですから、過信しないでくださいね!

■参考ホームページ
○第138回サイエンスカフェ in 福岡 →こちら

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投稿者プロフィール

ツツミ
ツツミ
柳川市大和町出身。幼少の頃は体が弱くて本がお友達。以来、書くのが好きになりました。リズムを意識した文章で柳川の“わくわくドキドキ”を発信していきます。
(写真はパワーチャージ中)