認定品を探る旅

坂田屋菓子店の米せんべい

投稿日:2019年12月25日 更新日:

ハルカ 平成23年の第1回ブランド認定品に選ばれた、「米せんぺい」について「坂田屋」さんにお話をお伺いしていきたいと思います。

米せんぺいの紹介文には、「かつて柳川の多くの家庭でつくられた。」と書かれています。坂田さん家族にはどんな思い出があるのでしょうか。

ハルカ 米せんぺいは、いつから作りはじめたとですか?
お店ができる前から作っとったね。米せんぺいは柳川の古いお菓子で、「子どもの頃食べてたから、懐かしか~」と言って買われる方もおられます。うちでは、父親の代から販売しとったみたいですね。

ハルカ もとは、家庭で作っていたお菓子だと聞きました。
そうですね。
ものがあまりない時に、子どものおやつのような感じで。
原料は米と塩と砂糖だけだから、あちこちで作れた…。
今70代から90代のおじいちゃんおばあちゃんの頃が全盛期。その頃が米せんぺいを作られている方の人数も多かったみたいですね。
ハルカ 米せんぺいの思い出はありますか?
昔、七輪でよう焼いて食べていました。(よう焼いて=頻繁に焼いて)しばらくすると米せんぺいが売れなくなり、たまに作っては、父親と「懐かしかね。」と言って昔話をしながら食べていたことを思い出します。

以前はお寺さんでも、門徒さんのために米せんぺいを作って焼いていました。これ(写真)はお寺さんが米せんぺいをつくらなくなってからいただいた、生地をのばす漆塗りの台です。いただいた台は、皆さんにみていただけるように、お店で展示しています。うちでは、1代目から引き継いでいる台を使って作っています。写真と同じ形をしています。

ハルカ 都子さんは柳川のご出身ですか?
隣の筑後市です。だから米せんぺいのことは、全然(知らない)ですよね。
ハルカ お嫁に来られて知った感じですか?
はじめて見たときのことは覚えてありますか?
来てビックリですよね。
食べる直前に焼いて食べるっていうのが。

全く米せんぺいを知らない福岡市内とかいろんな…
あちこちの方に送ると、はじめてやけど、
結構美味しかった―って言われる。
米のうまみが…
そぼーくな味が。なつかしー味って言われる。
だいたい城内地区で食べてたみたいです。
沖端地区も聞きますね

坂田屋さんの米せんぺいにはどんなヒミツがかくれていのでしょうか。見えないこだわりを、米せんぺいをいただきながら聞いてみました。

ハルカ こちらの形はずっと同じ大きさですか?
(伸ばしたては約16cm、干すと縮んで約15cm)
うちはずっとこの大きさ
ハルカ むかしから使っている型があるとですか?
父親手造りの型があります…簡単なもんですが…。

ハルカ 大きさは何でこんなに大きいとですか?
もともと保存食で作られたから、
腹にたまるように…。長くもつんですよ。
(賞味期限:製造後3ヶ月)
米を食べるとと一緒。
ハルカ 乾パン買わなくてよかですね(笑)
大きいからみんなで割って食べませんか。
ハルカ じゃぁ、(どれを食べるか)
ジャンケン大会でえらびましょ!

さいしょはグーじゃんけんぽん!
ハルカ 一番小さかったひとー?

勝ったのに一番ちいさいのを選ぶ明さん
「ポリポリ」
ハルカ 最近いつたべられました?
自分はちょくちょく食べてます。
試食で焼いたりするので。
父親は生地の時に。つくって味が変わってないか。
のばす前の生地をですね。
のばす前の生地も結構美味しいとですよ。
生地自体に熱が入ってるんですよ。
一度蒸しとるけんですね。
別に…焼かんでも食べられるとですよ。
味の確認は、時期・水分の量によって
蒸し時間が変わってくるから。そして、天日干しして日光に当てると
旨味がでてくる。

うちでは一般家庭の作り方よりも工程を増やして、
手間をかけ自然な甘みをだしています。

ハルカ そういえば何で、焼いて売らないんですか?
焼きたてが美味しかとですよ。焼いて火にちがたつとやっぱ風味が落ちる…。
それから、焼く前は結構日持ちがする。
あとは、焼くと割れやすいっちゃんね。
大きい割に薄いでしょ。薄いと割れやすい。
うちの米せんぺいはずーっと昔から焼かずに
販売している。
焼いて食べることは、分かってあるけど、
中には「焼いたものもありますか」って聞く方も
いらっしゃいますね。ひょっとしたら(焼いたもの)
売ってあるかもと思われて。
ハルカ 小ちゃくして売るというのは?
そうですね…どちらかというと、売りたいより
残したいというのがあるので…。
続いてきた状態のまま残したい。
やっぱり昔からあるそのまんまがいいですよね
ずっと作り続けている理由も、
昔食べたことのある人が、久しぶりに食べられると
すごい喜ばれるとですよ。涙の出るて。
(柳川出身で福岡市内にお住まいの方が)何気なく
うちが出ているテレビを見られてて、
もう懐かしくて涙の出た~って。
そこに2度くらい米せんぺいを送ったんですよ。
そしたらこの頃ちょっと、
夕方ぱっと買いに来られて…。
その方だったんですよ。小さい時食べていたと。
柳川に根付いた食文化だと思います。
遠方にいる方ほど、ちっさい時を思い出して。
ハルカ まわりが辞められて行く中で、続けられた理由は?
食文化をなくさないっていうのもありますけど
昔を思い出させる商品というのは何かしらの思いが
あるという。そんな思いがこもった商品なんです。
売れなくてもつくり続けてきた理由なんです。

この包装紙、20年前に作ってもらったとですけど…
これも続ける理由になっていると思います。
米せんぺいを作り続けてほしいからと、
今でも包装紙をくださるんですよ。
この方が書かれた詩が、20年変わらず
印刷されています。
80歳くらいのおじいちゃんがおってですね。

柳川のご出身です。
ハルカ 前Facebookに写真ば載せてあった…
あと、面白いのが、柳川と全く関係ない方が、
米せんぺいを食べるじゃないですか。
そうすると、違うところの郷土の文化にふれると、
柳川ってこういう文化があるんだ、
自分が住んでいた故郷はこういう文化があったよね。
と間接的に自分の故郷を思い出すという方も
いらっしゃるんですよね。
これから新しくつくる商品に出せない魅力的な部分
ですね。

平成23年の第1回ブランド認定品に認定された「米せんぺい」、認定品になる前となってからでは、何か変化があったのでしょうか?

あんまり売れてなかったとですよ。
認定品になってからはすこーし売れだしたんですよ。
昔は売れ残って、家庭で食べる方が多かった。
作る回数が少なくて、子どもの頃は米せんぺいを
作る姿を、あんまり見たことがなかった。
ハルカ どのくらい増えたのですか?
認定後はひと月に5回くらいですかね。作るとは。
認定前は月に1回作るか作らんかくらい。
月に1回作って、在庫ができ、売れ残ることが
多かった。今は月5回になっていますが、1回の量を少量にしているので、
認定前の2.5倍くらいですかね。
ハルカ なるほど。
でも、よう辞めんやったですね。
たま~に作るだけやけん…気楽ですよ
たま~にやっけん。

ハルカ 買いたいという方が増えたら、作る量は増えますか?
テレビ放送後は大変でした。
もう、イスから動けなかった。
注文の電話が鳴りっぱなしで。
1ヶ月ばかり待ってもらわないと。と断っても、
待っときますと云われる方がけっこう多かった。
テレビの反応はすごかった。

ハルカ そんなに…。今後作る量を増やす作戦はありますか?
機械を入れたら味が変わる。
ハルカ 機械は入れず、今できる量で?
もうそんくらいで十分。品質が良い方がよかけん。
機械乾燥で大量生産できますけど、やっぱ味が…。

出来るときに出来るだけ、自分の手の届く範囲で作って来られたことが、坂田屋さんで米せんぺいが長く続いているヒミツかも。味にはしっかりこだわて。
親子3人で、天気を見ながら自然と一緒に作った米せんぺいを、ぜひお試しください。