ねぇねぇ、今度お客様が来るからお菓子を用意したいんだけど(ΦωΦ)
越山もち(こっさんもち)があるよ~(^-^)
年末年始はお客様も多いでしょ。その時のお茶うけに「越山もち」と思ってね〜。
うん。でも、まずは私達がお茶にしましょう♪ 美味しいからね。
どうやって作ってるのかな?
梅花堂 越山さんに美味しさの秘密を聞きに行こう!
柳川の代表的なお菓子「越山もち」を作っている梅花堂 越山さんは、文久元年(1861年・幕末)に立花家(柳川藩主)の菓子御用達として創業された老舗の和菓子屋さんです。今回は和菓子のほか、洋菓子も販売されている本店へ行ってきました(^^)
こんにちは(^^)
こんにちは(^^)
「越山もち」について教えてください(^^)
はい。越山もち は梅花堂 越山の商品の中でも長く愛されている和菓子です。白餡をもち(求肥)で包み、その上から和三盆糖を振りかけてます。
もちの上に和三盆糖を振りかけていますので、口に含むと、まず、ふわっとした甘さが広がって、それから餡のほどよい甘さがまた広がるんですよ。
創業時からあるお菓子なんですよね。
材料や製法など、変わってないんですか?
はい。ほぼ創業当初から変えてませんね。
ただ、その時々の時代にあわせて作ってる部分もあります。
例えば、
昔は大振りな物が好まれましたが最近は上品な大きさが好まれますし、甘さもですね。昔よりは甘すぎないようにしています。
だけど、厳選した材料を使い、工程をシッカリとやって、お客様が美味しいって言ってくださる事を1番に考えて作る。そういうのは、創業当初から変わってないですね。(^^)
では。まずは工場へ行きましょう。
ちょうど、求肥を作ってるところですよ。
梅花堂 越山の求肥は、白玉粉と生もち粉をブレンドさせてます。
白玉粉は粘り気がでるんです、そして生もち粉はコシがあるんです。
2つの粉の配合のバランスによって、モチモチとしてなめらかな求肥ができるんですよ。
まずもち粉に水を加えてからよーく混ぜて蒸すんです。
これを鍋に移して、砂糖を入れ、約2時間じっくり煉って水分をしっかり飛ばします。
そうすると、柔らかくて、越山もちに適した水分量の求肥が出来上がるんです。
2時間も! 時間をかけて煉るんですねぇ。
なぜ水分を飛ばすんですか?
越山もちは、もちの上に和三盆糖を振りかけているので、求肥の水分量がとても重要なんですよ。
求肥の水分が多いと、和三盆糖が流れてしまい(振りかけてももちに付かない)、逆に水分が少ないと、カサカサするというんですかね、和三盆糖のノリが悪いんです。
しかも、乾燥しすぎたもちは表面がひび割れてしまうんで食感が悪いんですよ。
水分を飛ばす加減って難しそうですね。どういう事に気をつけてバランスをとるんですか?
季節やその日の天候によって湿度が違います。なので、その日その日の湿度にあわせて鍋の火加減を調整するんです。
もちの様子をじっくり見て頃合いを判断するんですよ。
ものすごくトロットロで柔らいですね〜。
モッチモチの美味しい求肥の出来上がりですね。
そうなんですよ。そして、この柔らかい求肥は、こうやってヘラで集めます。
うわっ!! 早いですね!
あっという間にクルクルってヘラで巻き上げられていきます。
そう。でも、簡単に見えて難しいんですよコレ。
出来るようになるまで1年位かかるんです。
お玉だとね、すくえるんだけど、その後がキレイに取れないんですよ。これだけ柔らかいもちでしょ。お玉にくっついちゃって大変な事になっちゃうんです。
ヘラだと、ヘラ同士を擦ればスパッと取れるんですよ。
そうなんですね。たしかにもちだから、くっついたらとれなさそうです。
求肥を作る時の火加減の調整や、もちをすくう技など、職人さんの長年の経験ってスゴイですね。
粗熱を取ったくらいの求肥を機械にいれます。完全に冷やさないんですよ。
熱いけど、後で和三盆糖を振った時に適したもちにするためなんです。
求肥が餡を包んでスパッと切れて出てくるでしょ。熱くても柔らかくても、ちゃんと出てくるのは求肥の水分量のバランスがいいからなんですよ。
これは、最初に出てくる数個のもちの大きさや形、重さなどをチェックして、均一に流れてくるように調整しているんですよ。
餡を包む求肥の厚さとかバランスも触って確認してるんですよ。長くやってると、手で触ったりした感覚でわかるようになるんです。
そしてちゃんと均一に整って出てくるようになったら、ドンドン流していくんです。
出てくるもちは、常に目視でチェックしています。
そして、数個ごとに重さを量って、バラつきが無いように気をつけてます。
1個32gが基準ですね。
そうなんですよ。
二人がかりでドンドン詰めてるから簡単そうに見えるけど、もちともちがくっつかないようにちゃんと間隔をあけて並べなきゃいけないし、素早くやらないと間に合わないんですよ。
しかも、求肥が冷めきってないから、熱いもちが流れてくるんです。
エエッ。熱いんですか!
それなのに、こんなにキレイに早く詰められるなんて、スゴイです。
そういえば、餡はどうやって作ってるんですか?
蒸気釜だから焦げ付かなくて良いですよ。
この釜でじっくり煉って作るんです。
生餡は購入していますが、越山もちに合う餡になるように糖度を調整しています。和三盆糖の甘さや求肥と調和するような餡に仕上げるんですよ。
1:餡を作る。
2:求肥を作って餡をくるむ。
3:和三盆糖をふりかけて、包装する。
この工程を3日間かけて行います。
求肥で餡を包んだもちも、一晩かけてゆっくりと冷まします。
出来上がったもちを急速に冷やして、和三盆糖をふりかければ出来上がるような気がするでしょ?
それじゃぁダメなんです。
急に冷やしたり、風に当てて乾かしてしまうと求肥が一気に乾いてしまって水分量が少なくなりすぎてしまい、和三盆糖のノリが悪くなるし、表面がシワシワしてしまうんです。
そうなると、もちの食感や、ふわっとした和三盆糖の風味などがね、あまりよろしくないんですよ。
急いじゃだめなんですね。じっくり、ゆっくり、手間暇かけて。 そして、最後まで水分量のバランスが大事なんですねえ。
ところで、どういう風に和三盆糖をかけてるんですか?
まずは、もちの上に付いてる粉をしっかり落とします。
それから、全体的にまんべんなく和三盆糖を振りかけるんです。
和三盆糖は四国産の厳選された物なんです。
手もみで作られてるから、ものすごく粒子が細かいんですよ。
なので、口の中に入れるとふわっと上品な甘さが広がるんです。
和三盆糖を振りかけたら、個別包装して「越山もち」の出来上がりです。
賞味期限が1周間ほどしかありませんから、お客様に美味しく召し上がっていただくためにも、こまめに作って、新しい物を提供できるようにしてるんですよ。
良質な材料を使って、長年受け継がれてきた技術や製法を守る。じっくりコツコツと美味しいお菓子を作り続けていきたいですね。
なるほど。
創業当初から変わらない 職人さんの長年の経験と技。そして真っ直ぐな姿勢が、美味しい「越山もち」を作ってるんですね。
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あ、カステラもあるんですね。和菓子だけでもたくさんの種類があるし、本店限定ですけど洋菓子もありますよね。どういったキッカケで増えていったんですか?
はい。
越山もちのように創業当初や昔からある和菓子の他に、和菓子の先生に来てもらって一緒に作りあげた物もあったり、自分たちで考案した物も多数あるんですよ。昔に比べたら和菓子やお菓子の種類はかなり増えましたね。
それと、やはり柳川ということで北原白秋先生の詩からイメージして作った和菓子やお菓子「からたちの花」・「白秋詩碑(帰去来の詩碑を象って作った「もなか」)」などもあります。
そうそう。洋菓子をヒントにして作ったお菓子もあるんですよ。
たとえば、「花しょうぶ」
名前は柳川市の市の花の「花菖蒲」から取ってます。これはフワフワしたカステラ生地に柚子ジャムをふんだんに挟んでます。柚子ジャムは自家製なんですよ。宮崎産の柚子を使って風味豊かに作ったジャムなんです。
そして、「コーヒー大福」これには珈琲以外にも和菓子には使わないある材料を使ってるんですよ。それが餡にバッチリ合って、新しい味の大福になってます。
12月中旬から期間限定で販売される「苺だいふく」もそうですね。苺は「あまおう」を使用して、餡には一工夫しています。苺の風味を十二分に楽しめると好評なんですよ。
そうなんですね。やはり長年受け継がれた和菓子の伝統があるから、洋菓子作りからのインスピレーションで出来たお菓子も美味しくなるんですねぇ。老舗の伝統ってスゴイですね。
ありがとうございました。
苺だいふくは発売時期になったらぜひ食べてみたと思います。
で。さっそく帰って食べてるんだね。
「白秋詩碑」は餡が甘すぎず上品で、パリパリとした皮も美味しいよ。
「花しょうぶ」はね、カステラの甘さに柚子ジャムのサッパリとしてる甘さや柚子の香りがバッチリ。「コーヒー大福」もオモシロイよ。あの材料、ホントに餡と合ってるね。驚きですよ。これは和菓子なのに珈琲でもいけますね。
さて、お客様がみえたので ミミちゃんお茶いれて下さい。
越山もちでお出迎えしましょう〜。
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株式会社 梅花堂 越山
福岡県柳川市京町12 (MAP)
TEL:0944-72-2197
FAX:0944-74-0030
営業時間:8:30~19:30
定休日:元日