今回は 「こいくちしょうゆ 芙蓉(ふよう)」 と 「さしみ醤油」 の美味しさの秘密を探ります♪
明治33年(1900年)創業の老舗、柳川の家庭の味とも言える醤油を作ってる 森山醸造食品有限会社 に行ってみましょう~。
こんにちは(^^)。
「こいくちしょうゆ・芙蓉」は、柳川の家庭の味。定番のような醤油だと思いますが、いつ頃、どうやって出来たんですか?
「こいくちしょうゆ・芙蓉」は、森山醤油の2代目当主・森山嘉一が、昭和25年(1950年)に作った醤油なんですよ。
当時は今の食卓よりも有明海の魚の煮付けがおかずとして出る頻度が多かったみたいなんですね。そこで、魚の煮付けを作る際に、砂糖やみりんなどの調味料を細々入れなくても、もっと簡単においしい煮付けが出来るように、そして、この醤油1本と水だけで調理できるようにという気持ちで作ったそうです。
素材の味を活かした煮付けができるように試行錯誤して作ったそうですよ。
昭和25年の販売当初から親しまれた醤油で、今では 家庭の味として、様々な料理の調理用に、食卓のかけ醤油にと、幅広い用途で使ってもらってますね。
元々は煮付けにあうようにという発想で出来たんですね。味わいのある醤油が、今では家庭の味として定着してるのが納得できます。
そして、調理する時に醤油と水だけで出来上がるなんて便利ですよね(^^)
味付けということですが、醤油ってどうやって作ってるんですか?
九州の醤油の味はもともと甘いんですよね。
醤油は、大豆(丸大豆・脱脂加工大豆)と小麦としょうゆ麹に食塩(水)を混ぜて発酵・熟成した物なんです。
出来上がったばかりの醤油を生醤油と言うんですよ。
この生醤油は、九州で作ったものも、関東の醤油と同じ製法なんです。
うすくち や こいくち などという醤油の種類ですが、入れる食塩(水)の濃度や発酵具合の違いで、味や風味が異なってくるんですよ。
醤油の材料の大豆ですが、丸大豆と脱脂加工大豆という2種類があります。丸大豆というのは、大豆をまるごと使用します。醤油にとっては不要な油分が出るので、油分を取るなどの手間や、発酵する時間もかかります。脱脂加工大豆というのは、その不要な油分を取り除く加工をした大豆です。丸大豆より手間も時間もかかりません。今では醤油用に加工されている物もあるので、脱脂加工大豆を使っても品質の良い生醤油が出来るんです。
丸大豆と脱脂加工大豆、それぞれの風味や旨味の特徴があるんですよ。なので、どちらを使った醤油が良い悪いではないんです。うちでは大豆の特徴を見極めたうえで、作る醤油や調味料にあう生醤油を使い分けてます。
生醤油は、福岡県醤油醸造協同組合から仕入れてます。
福岡県には、100軒あまりの醤油屋があり、昭和41年に県内の醤油屋が集まって組合(福岡県醤油醸造協同組合)と工場を作りました。生醤油はそこで作られています。
生醤油に加える調味料の内容や割合の差が、各醸造所オリジナルの味になるんです。
醤油って地方ごとに好みの味が違うんですよ。関西からどんどん西になるにつれて甘くなっていくみたいですね。
元になる生醤油の味が同じだとは知らなかったです。
それなのに各地で味が違う醤油って、おもしろいですね。
それでは 2016年にブランド認定された「さしみ醤油」についても教えて下さい。どんな特長があるんですか?
「さしみ醤油」は、こいくち醤油と比べると、味や濃度が濃厚になるように作ってます。口に含んだ時の風味もより強く感じられると思いますよ。
ちょっと贅沢な醤油の味を楽しんでほしい逸品ですね。
こいくちしょうゆ・芙蓉 とは入れる調味料や配合のバランスが違いますし、1番の違いは、再仕込み醤油を使ってることですね。混ぜることによって、とろりとした食感と濃厚な味わいが出来るんです。醤油の風味や味に深みが増すんですよ。
さきほど醤油を仕込む過程に食塩(水)を使うと言いましたが、再仕込み醤油は、食塩(水)ではなく生醤油を使うんですよ。
生醤油がさらに発酵・熟成されますので、それによって、味、香、色などの旨味や風味が増して、濃厚な醤油になるんです。
2度も発酵する再仕込醤油を使ってるって、贅沢な醤油なんですね。
さしみ醤油って刺身専用というイメージがあるんですけど、他には どういう風に使えますか?
そうですね。刺身にはもちろん合いますが、漬物などにもバッチリなんですよ。濃厚な醤油の旨味がありますから、かけ醤油にして普段使いしてもらっても良いと思います。
もちろん、芙蓉をかけ醤油にされてる方は多いんですが、芙蓉を調理用に、さしみ醤油をかけ醤油にと、使い分けている方もいらっしゃるんですよ(^^) そういえば、甘めの醤油が苦手な関東近郊の方の中でもこれを かけ醤油にされてるって聞いたことありますよ。
醤油なので好みによって、いろんな料理に使ってほしいですね。
そうですね。さしみ醤油でもかけ醤油にしていいんですよね。今度 冷奴を食べたりしてみます(^_^)
それでは、醤油を仕込む時に気をつけてる事や、こだわりなどを教えて下さい。
工程はシンプルなんですよ。
まず生醤油に火入れをします。火入れをすることにより、酵素や酵母菌が無くなるので、発酵が止まります。酸化やカビなどの原因を無くすんです。
その次に、調味料を入れていきますね。
調味料はうち独自の配合で数種類入れます。一気に入れるのではなく、調味料毎に複数回入れていくんです。
調味料が溶ける温度が違うからです。一気に入れてしまうと溶けるものと溶けないものが出てしまうんですよ。味のバランスや風合いなどが悪くなり雑味もでます。
醤油を作るときに1番気を使うのは温度なんです。醤油本来の風味や旨味を無くさないようにしながら、火入れをして、調味料を入れます。
温度をちょっと間違うと、風味も旨みも変わってしまいますからね、温度には特に気を使ってます。
作業を一つ一つ丁寧にしていって、美味しい醤油が出来るんです。
できた醤油は、自然に冷まします。約1日くらいですね。
充分冷ましてからボトルに詰めますよ。
同じ味、同じ品質の醤油になるように、シンプルな製法の中に、伝統の味を守るこだわりが詰まってるんですね(^^)。
はい。長年愛されてる醤油ですから、代々伝わっている当時の味をこれからも変わらないように、間違えずに丁寧に作っていくことが大事だと思ってます。(^^)。
ありがとございました。
それでは、醤油や、森山醤油の今後の展開なども少しお聞きしたいのですが。
はい。うちには「伝統の味」「商品開発」「食育」の3つの柱という理念があるんですね。その中の商品開発なんですが、
醤油を使ったオリジナルの調味料を作っています。今年(2016年)で19年目になるんですよ。最初は試行錯誤しましたけど、だいぶ種類も増えました。そして、森山醤油の名前で販売してる物以外にも、スーパーマーケットや料理店などで販売しているドレッシングやタレなどの調味料がいろいろあるんですよ。森山醤油の名前は出ていませんが、それらもかなり好評なんです(^^)
なので、今後は、このオリジナル調味料作りの方も、もっと幅広く展開していこうと思ってます。うちの醤油を使ってるんで美味しいですよ。
伝統の味を守りながら、新しい物も取り入れて、醤油の美味しさを広めていきたいですね。
なるほど、醤油が美味しいから調味料も美味しいですよね。そして、ほんとに種類がたくさん開発されてますね。
醤油の可能性って幅広いです。
では、ちょっと、こちらのスペースも気になるので、教えてください。
工場の一部に「柳川醤油工房」という新ブランドを発信する場所を作りました。
醤油やもろみなどの商品を中心に、郷土「柳川」にゆかりのあるものや、伝統的なものも全国に発信していきたいと思ってます。
そして、ここでは「醤油仕込み体験」が出来るんですよ。 醤油を知ってもらえるキッカケ作りや食育の一貫として、楽しんで体験してもらえればいいなと思ってます。 この大きな木の樽の中には熟成したもろみ(見学用)が入ってるので覗いてみてくださいね。
醤油を仕込んだり、生醤油を搾ったりって、一般家庭ではなかなかできない体験ですよ。美味しい醤油をもっと皆さんに知ってもらい、もっと使って欲しいと思ってます。
そうなんですね。その醤油ができるのを楽しみに期待してますね。そして、醤油仕込み体験は、おもしろそうなので、近いうちに体験しに来ます。(^^)
醤油仕込み体験の詳細は森山醤油HPにて→ http://www.moriyama1900.com/hpgen/HPB/categories/11351.html
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森山醸造食品有限会社
福岡県柳川市沖端町52 (本店) 地図
福岡県柳川市稲荷町26 (工場・工房) 地図
HP: http://www.moriyama1900.com/
柳川ブランド認定品 こいくちしょうゆ 芙蓉
おいでメッセ柳川、森山醸造食品有限会社(本社・工場・web)、柳川市内スーパーなどで発売中。