本吉屋ときけば、柳川が誇る「うなぎのせいろ蒸し」の老舗。
その老舗から、お店と同じ味を自宅で味わえる「国産うなぎのせいろ蒸し」が登場しました。
本吉屋代表・本吉勉さんとスタッフの峰陽夏さんに、美味しさへのこだわりと開発の工夫についてお聞きしました。

本吉屋代表・本吉さん
300年以上にわたって伝える味
柳川でいう「うなぎめし」とは「うなぎのせいろ蒸し」のこと。タレをかけ、うなぎとご飯とを一緒に蒸し上げるのが特徴です。そのタレの味や蒸し方などは店舗によって異なり、それが各店の個性となっています。

柳川のうなぎめしは、ご飯と一緒に蒸し上げる「せいろ蒸し」が特徴
本吉屋の創業は古く、天和元年の1681年。「うなぎのせいろ蒸し」を世に出して以来、300年以上にわたって初代秘伝のタレと料理技術を守ってきました。

歴史を感じさせる佇まい
手仕事にこだわり、すべて店で手づくり
その一番のこだわりは、手間ひまを惜しまず、店ですべて手作りしているところといえましょう。価格を抑えるために業務用商品を仕入れることも可能でしょうが、本吉屋は店で米を炊き、ウナギを焼き、それに添える錦糸卵も丁寧に1枚1枚、スタッフが手で焼くというように手仕事を続けています。

うなぎは店で丁寧に焼き上げている
タレには醤油、中ザラ糖や地元・大松下の飴がたを使用。それらをバランスよく組み合わせ、風味と深みのある味わいを作り出しています。
ウナギは国産のウナギを使い、熟練の技によって皮はパリッと中はフワッと、絶妙なタイミングで香ばしく仕上げています。
そして特徴は、ご飯といえるかもしれません。粒が大きく、タレがよくしみて、せいろ蒸しの良さが生きています。

粒が壊れにくいご飯に甘辛いタレがしみ、せいろ蒸しの良さが生きる
その理由は米にあります。使っているのは、山形産の「つや姫」。本吉屋では米の新作が出るたびに試し、「つや姫」も山形の産地まで足を運び、実際に使ってみて決めたといいます。
というのも、本吉屋のうなぎめしは手が込んでいて、米を一度炊き、それにタレをかけて蒸します。その蒸し上がったご飯に焼いたうなぎを乗せ、もう一度蒸します。何度も火にかけるため、米によっては粒が壊れることも。
その点つや姫は丈夫で、完成まで米粒がしっかり残り、うなぎとともにご飯の風味を味わうことができるといいます。うなぎの大きさや味、焼き加減に目がいきがちですが、ご飯の美味しさも大事なのです。
店のうなぎめしをそのままご家庭に
このように、本吉屋のうなぎめしの美味しさは、職人による手仕事から生まれています。
しかし、それをご自宅で味わってもらうには、さらなる「試作と改良」が必要だったといいます。

ご飯とせいろを蒸す独特の味わいを届けるために試行錯誤
まずこだわったのは、店と同じうなぎめしをそのまま家庭で味わってもらうこと。「うなぎとご飯を一緒に味わうのが柳川のうなぎめし」ですから、「ご飯を炊くことなく、電子レンジさえあれば、お店と同じように味わえるようにしたかった」と、本吉社長は話します。
当初は余熱を取って冷凍し、その時間を変えて何度も試したとか。しかし、思う味にならず、冷凍庫を交換。一気に急速冷凍することにしました。
そして、次の問題。「家庭での味の再現」です。「どの家庭の電子レンジでも等しく、店の味を再現できる」ことにこだわり、これも何度も試したといいます。
ご飯の芯が冷たかったり、温めすぎてうなぎが乾燥したり。試作を担った峰さんも「試作品が山積みになった」と振り返ります。盛り方や真空パックの方法を工夫し、試行錯誤してやっと満足できる味になった時は、嬉しいというより安どの表情だったようです。

本吉さん(右)は峰さん(左)ら若手スタッフのアイデアと実行力に期待していると話す
かば焼きだけ届ける、もしくは、かば焼きとご飯を別にするというように、美味しさを家庭に届ける方法は、他にもたくさんあったでしょう。
しかし、本吉屋は「せいろ蒸し」に、それも店と同じスタイルにこだわりました。
解凍の仕方を記した説明書とお箸を入れたのもそのため。説明書通りに解凍すれば、店と同じ味を味わえます。

店舗と同じものを急速冷凍し、お箸をつけてご家庭へ
「柳川のせいろ蒸しを一度食べたかったという関東や関西の方々、故郷の味が懐かしいと言ってくださる柳川出身の方々に喜んでいただけるのが嬉しい」と話す本吉社長。「この商品が柳川に足を運んでくださるきっかけになれば、なお嬉しい」と、笑顔を見せてくれました。
今、ウナギを取り巻く環境は変化し、質と量の確保が難しくなりつつあります。また気候の変化によってお客様の志向や観光スタイルが変化しており、先々への不安も残ります。
しかし、ここで終わらないのが300余年の伝統のなせる業。次なる商品・サービスも考えているといいます。伝統と誇りに挑戦をプラスして、どんなものができるのか、楽しみです。

■DATA
◯商品名:国産うなぎのせいろ蒸し
◯価格:9,000円(400グラム×2本・税込)
◯取扱店:自社ネット販売、ふるさと納税
◯企業概要:昔うなぎが獲れた柳川で生まれた「うなぎのせいろ蒸し」。創業以来その味と技術を守り、今なお愛されている老舗。茅葺き屋根の本店は風情があり、柳川観光名所の一つ。
※参考:本吉屋ホームページ→こちら




