認定品を巡る旅

野口イ草染色「い草ラグ 華の恵み」〜ブランド認定品を巡る旅vol,17

投稿日:2019年12月14日 更新日:

こんにちは 待鳥です。
今回のブランド認定品を巡る旅は、野口イ草染色の「い草ラグ 華の恵み」のお話をお聞きしたいと思います。

柳川ブランド認定品:い草ラグ 華の恵み

(ブランド認定品をめぐる旅とは・・・。
柳川市の数ある特産品から選ばれた「柳川ブランド認定品」を紹介するコーナーです。)

お話をお聞きする、野口イ草染色の野口健吾さんです。

野口イ草染色:野口健吾さん(お隣はお母様)

野: こんにちは。

待: こんにちは。「い草ラグ 華の恵み」とても綺麗でインパクトのある模様ですね。

野: はい。ラグの模様は私がデザインし、意匠屋さんに依頼をし、柄を作って頂いております。
今は織り機の進化で複雑な模様や大胆な模様も織れるようになりましたので、今までのごさのイメージとは違うものを作りたかったんです。
ござを使ったことのない方々にも使ってみて欲しいと思ったので、ラグにしました。ラグですと畳のお部屋が無い住宅でも使いやすいですよね。
海外の人にも人気で、ドバイのジャパントレードセンター(JTC)にも展示させてもらってます。

待: そうですね。綺麗なラグはお部屋を明るい印象にしますし、大胆な模様はラグ1枚でお部屋のアクセントになりますよね。
い草ラグのござと普通のござはなにか違うんですか。

野: はい。ござは畳表と同じように作られていて、単色で、模様がなく、シンプルな織り方の物をいいます。
このい草ラグ華の恵みに使ってるござは、花ござというんですよ。
花ござというのは、花模様だったりカラフルな色合いの模様に織られたごさのことで、染めたい草を複数色使い、織りも複雑になります。
い草ラグ「華の恵み」ですと四重織(縦の織りが四重になる織り方)ですね。花ござのなかでも高級な織り方になるんですよ。

花ござは、岡山が発祥と言われています。い草の産地だった柳川でも花ござは昔から多く作られていたんですが、今では少なくなってしまいました。

待: ござと花ござってそういう違いがあったんですね。
野口さんは、全国でも3人しかいない「い草の手染めの職人」ということですが、い草ってどうやって染めるんですか。

野: はい。手染めが出来る職人は、3人とも柳川にいてそのうちの2人が、私とうちの社員なんですよ。
野口イ草染色という会社は、私で3代目なんですが、あくまで手染めにこだわりをもっています。

では、染めていきますね。

色は染料で染めるんですよ。使ってる染料は、染料の会社から安全データシートを取り寄せ、体に害のない成分で出来てる物を使ってます。
ヘアカラーなどにも使われている染料だったり、金魚の白点病の薬になるメチレンブルーという染料だったりと、安心できるレベルの物なんです。

安全にこだわって選んだ染料を使用します。
この染料はベージュ。染料の組み合わせ次第で豊富な色を作り出せます。

野: では、染料が溶けたところで、い草を入れます。

丁寧に入れていきます。

野: 外側が染まってきたら、外側と内側のい草を入れ替えます。入れ替えることで染め上がりが均一になるんです。これは手染めだからこそできる技なんですよ。
機械染だと束のまま染めて入れ替えないので、一束の中でも色ムラができてしまうんです。
花ござに使うい草は色も本数も多いので、色の差やムラが出ないように気をつけながら染めてます。

い草に色がついてきました。 何度かひっくり返して染めあげます。

待: すごい熱気ですが、この釜の中の温度は何度くらいあるんですか。

野: 染料を入れて溶かすときは100℃位ですね。あとは、その日の気温などで微調整してますけど、だいたい80~90℃位です。
慣れたとは言え、やっぱり熱いですね。

染め上がったい草。

野: 染め上がったい草は、折れたものを選別して、きれいに整えます。
(折れたものも、あとで折れを伸ばして乾燥すれば真っ直ぐになるんですよ。)

きれいに整えてから乾かします。

野: 染め上がったい草は、粗熱を取って乾燥させます。乾燥には13時間ほどかかります。

待: きれいな色ですね。乾燥した後の色も楽しみです。染められた後はどういう工程になるんですか。

野: はい。出来上がったい草を、織る職人さんに預けて織り上げてもらいます。柳川で代々やられてる方なんですよ。
そして、織り上がった花ござの表面に汚れ防止のコーティングをします。(コーティングも別の業者さんに頼んでます)
最後に出来上がった花ござを私が検品し、裏にウレタンを貼って、ヘリ加工(外注)をして頂き出来上がりです。

い草の仕入れも業者さんへの搬入も全て私がやります。信頼できる方にお願いしてるのはもちろんですが、その都度お会いすることで業者さんとのコミュニケーションも取れて、商品の品質UPにもつながってると思います。

待: い草ラグができあがるまでには、ひとつひとつの工程毎に時間も手間もかかってますね。
工場に入った時からいい香りがしていて気になってたんですが、材料のい草について教えてください。

国産い草

野: はい。私の使うものは国産のい草のみ、そして「い草ラグ 華の恵み」は、柳川産のい草を使ってます。今では、柳川市のい草農家さんは1軒になってしまったので、かなり貴重ない草になってしまいました。
その他の商品のい草は熊本産です。
こだわって作られている農家さんのい草って、触り心地も香りもとてもいいんですよ。
農家さんの顔が見える仕入れをすることで、い草の育て方や、農薬を使用しているのか(残留農薬の有無)、刈り取り後の処理の方法等、どうやって作られてるのか詳しくわかるので、良いものを仕入れることができるんです。
ござは直接体に接する物ですので、質の良い安心安全な物を提供したいと思って厳選して仕入れてます。

待: 国産い草の生産量は少なく、貴重なものなのに、さらにこだわってい草を仕入れられてるんですね。

野: そうですね。お客さまには是非、い草の良さを体感して欲しいんですよね。
若い人だけでなく、赤ちゃんやご年配の方まで様々な人に使って欲しいので、商品の安全性には、これからもこだわりたいと思ってます。
それに、手染めなので変な材料を使ってしまうと、私の体が調子悪くなるのですぐわかるんですよ。

待: デザインも素敵ですが、安心できる材料で作られているい草ラグだったんですね。貴重なお話をありがとうございました。

それでは。せっかくなのでお手入れについてもお聞きしたいと思います。
汚れが付いたらどうすればいいですか。

野: 表面はコーティングしてますので、軽いものなら弾くんですが、乾拭きして水気を取った後に、エタノールを付けた雑巾等でサッと拭いてください。
(水を硬く絞った雑巾等でも良いが、エタノールの方が防カビや抗菌効果があって尚良い)
それと、たまにはウレタン部分を表にして、天日干ししてください。
ウレタンが無いものでしたら、サッと天日干しするだけで大丈夫ですよ。

待: い草の香りがしなくなったら替えどきなんですか?

野: いえ、香りがなくなっても大丈夫ですよ。 い草の香りがなくなっても湿気を取ったり臭いを吸ったりという効果は持続されてます。

待: なるほど。思ったよりお手入れが楽ですね。それに香りがなくても吸湿や防臭の効果が持続していたなんて驚きです。

それでは、今後の展望などもお聞きしたいと思います。

野: そうですね、い草を使った商品をもっと広めていきたいと思ってます。今、畳インソールが人気なんですが、もっといろんな商品をい草で作っていきたいですね。
それと、ずっと工場の隣にショールームを建てたいと思っていたのですが、ついに実現します。この秋着工なので来年には出来る予定ですよ。
せっかくなので、工場見学も出来るイベントとかできればいいなと思ってます。
そして、これはまだまだ先の事ですが、いつか、い草を作るところから織りまでをすべて自分でやってみたいとも思ってるんですよ。

待: 工場見学は楽しそうですね。 次はどんな商品が出来るのか楽しみです。今日はありがとうございました。

野: ありがとうございました。

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野口イ草染色
〒832-0004
柳川市矢加部55-1
☎ 0944-72-5447
https://www.rakuten.co.jp/kandk1120/

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工場外観

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好評発売中

畳インソール
サイズ:21cm~27cm(1cm刻み)  
カラー: グリーン、チョコレートブラウン、レッド、ブラック、スカイブルー、ネイビー、ピンク、ベージュ、ブラウン。
※チェックや柄模様入りは柳川よかもん館限定販売。
販売価格: 1,000円(税込)
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販売価格: 1,000円(税込)
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柳川ブランド認定品:い草ラグ 華の恵み (約191cm✕250cm) 
販売価格: 54,000円(税込)

*柳川よかもん館のみ販売中
*柳川市ふるさと納税お礼の品にもなっています。
*野口イ草染色ネットショップで販売中の同デザインのイ草ラグは熊本産い草使用

この記事は令和元年9月11日現在のものです。