こんにちは 待鳥です。
今回のブランド認定品を巡る旅は、
「花ござインソール」のお話をお聞きしたいと思います。
(ブランド認定品をめぐる旅とは・・・。柳川市の数ある特産品から選ばれた「柳川ブランド認定品」を紹介するコーナーです。)
お話をお聞きする、松正の松永正晴さんです。
松: こんにちは。
待: こんにちは。2020年度より柳川ブランド認定品に登録されました「花ござインソール」についてお聞きしたいと思います。それでは、花ござインソールを作ったきっかけから教えて下さい。
松: はい。花ござインソールを作ろうと思ったのは、い草や花ござをもっと知ってもらって、気軽に使って欲しいという思いがあったからです。
い草のインソールという商品自体はすでにいろんな企業さんから販売されていましたし、うちの花ござを使って作りたいなとも思ってはいたんですが、その時は
花ござの製造を主にやっていたのでとても忙しくて、インソールの商品開発をしていなかったんです。
数年前に小売販売を始める際に、インソールを作ろうと思いました。長年花ござを製造してきましたので、品質には自信があります。その花ござを使ってインソールを作ることで、い草を気軽に生活の中に取り入れてもらえるきっかけづくりにもなりますし、い草の良さも実感してもらえると思ったんです。
待: インソールですと普段使いできますから、気軽に手に取りやすいですね。
松: はい。日本では靴を脱ぐ習慣がありますので、靴の中のおしゃれとして生活の中で気軽に使っていただきたいですし、い草の効果で靴の中の臭いや湿気がかなり軽減されますので、ムレやすい革靴や一日中靴を履いている方にもオススメです。スニーカーや革靴、ブーツなど、気持ちよく使っていただけると思います。
待: 靴の中は湿気がこもりやすいので、一年を通して使えますし、自分用だけでなく、ちょっとしたプレゼントにも喜ばれますね。
それでは、花ござを使われているということですが、どのように作られているか教えてください。
松: はい。花ござを使っているのはインソールの表面の部分です。袋織りという花ござの中でも丈夫な織り方で作ってます。それを各サイズに裁断し、不織布で固定して縁取りをしています。
待: 花ござの色と縁取りの色を合わせられてますよね。
松: 縁の色は全部で9色ありますので、お好みの色が見つかると思います。縁取りには、縁の部分のほつれ防止の役割もあるんですよ。花ござは、経糸(たていと)とい草(横糸)を織って作りますので、裁断した部分をそのままにしておくと、そこからほつれていくことがあるんです。花ござと不織布を縁取りして縫い付けることで強度が増して丈夫な作りになってます。
待: そうなんですね。綺麗な色合いなので靴の中がぱっと明るく見えるだけでなく、ほつれ止めなどの重要な役割があったんですね。
お手入れ方法も教えて下さい。
松: はい。い草には臭いの原因菌を抑えるという効果がありますが、やはり長期そのままで使い続けるより、たまに陰干しして乾燥される事をオススメします。
洗濯や水洗いはできませんのでご注意ください。雨などで濡れたら完全に乾かしてからご使用くださいね。
気になるのであれば、消毒用アルコールなどで軽く拭かれても大丈夫ですが、その際はビショビショに濡らさないようにお気をつけください。
パッケージの裏にも表記しておりますので、お読みいただければと思います。
待: 毎日使い続けたり、靴の中に入れっぱなしにせず、たまに乾燥させた方がいいんですね。
では、花ござについても教えて欲しいのですが、袋織りとはどのような織り方ですか。
松: はい。花ござにはたくさんの織り方があるのですが、その種類というのは、「経糸(たていと)が1mの中に何本入っているか」で決まるんですよ。例えば筑後地方の伝統的な掛川織は縦糸がとても少ない織り方で、花ござの表面に経糸が出ませんので柄がとても綺麗です。
そして、袋織りというのは、花ござの織り方の中で、経糸の本数が一番多い織り方なんです。繊細な模様でも綺麗に表現できますし、凹凸がはっきりしますので立体的な表現もできます。それに、経糸が多いので、横糸であるい草をしっかり固定できますので、織りが密になり、仕上がりがふっくらとなります。
待: なるほど、他の織り方に比べて経糸の幅が狭いですね。袋織りの花ござを使うことでふっくらと、そして綺麗な模様のインソールが出来上がるんですね。
では、い草についても教えてください。
松: はい。い草は国産の熊本の契約農家さんから、長くて良質な物を直接仕入れてます。それとは別に、うちの会社は元々製造元ですので、信頼できる仲買業者さんからも生産農家さんが分かっている良質なものを仕入れてます。
国産のい草を使うのはもちろんですが、農家さんがこだわって作られてる良質のい草は、香りや触り心地が格段に違うので、い草の質にはかなりこだわって仕入れています。
待: 国産の中でも良質ない草にこだわって仕入れられてるんですね。花ござインソールには染色されたい草も使われていますが、染めはどうされているんですか
松: はい。染めは柳川市内や柳川市近郊の染め物屋さんに依頼しています。こだわって仕入れたい草ですので、信頼できる業者さんに頼むことで安心してお任せできますし、染め上がったい草は満足のいく仕上がりになってます。
待: 色とりどりのい草が綺麗ですね。
それでは工場も見せてください。
松: はい。それでは、花ござを織っている工場へ向かいましょう。
作業している金縄さんです。今、織り機にい草を入れる作業をしています。
まず、い草の長さを揃えて切ります。横幅が決まってますから、い草の長さを余計に短くできませんので慎重に、そして断面を綺麗に揃えてるんですよ。
揃えたい草を機械に入れます。
い草を入れたら、機械を目視で確認し、い草の送り具合などを確認します。
待: 動きが素早いうえに丁寧ですね。
松: そうですね。織り方によって色を変えて入れたり、織り機の織るスピードに合わせたりしなければなりませんので、素早くて丁寧な仕事をされるのは長年培われた職人の技ならではですよね。
松: では、出来上がった花ござをチェックする作業をしていますので、あちらの方へ。
甲木さんです。
横糸であるい草が飛び出してしまうことがあるので、それを見つけて修正したり、織りのズレがないかなど、仕上がりを細かくチェックする作業をしています。
待: すごく細かい作業ですね。
松: そうですね。花ござは模様の綺麗さも重要ですから、ひとつひとつ細心の注意を払いながら、丁寧に手を抜かない作業を心がけてます。
素材にも作業にもこだわって質の良い花ござを作りあげていくことが大事だと思ってます。
待:そうなんですね。社員みなさんで商品の質を高める努力をされてるんですね。
それでは、会社のことも少しお話を伺いたいと思います。
製造をメインにされてたとのことですが、小売をはじめられるきっかけを教えてください。
松: はい。弊社は、花ござの製造を代々やってきまして、私が4代目なんです。祖父の代まではまだ小さい製造元でしたが、父の代で今の規模に成長しました。その頃のい草業界は最盛期のまっただ中で、い草が緑のダイヤモンドと言われるくらいすごい時代だったんですよ。
その頃、私は東京でい草とは全く関係のない仕事をしていたんですが、父一人での会社経営はとても忙しくて大変そうだからという、叔父の勧めもありましたので柳川に戻って入社しました。
花ござを織る作業は小さい頃から見ていましたので知ってましたが、作るのは入社してからが初めてです。日々勉強をしながら花ござを作りましたし、社員全員で商品の質をあげる努力もしてきましたので、私が製造から外れて営業だけに業務を絞れる体制つくりができたこと、そして、い草業界が少し一段落し、大口受注が減り始めたこともあり、松正の花ござを少しでもみなさんに知っていただきたいと思って、小売を始めることにしたんです。
待: 小売することで、花ござやい草の良さに興味を持ってもらえそうですね。
松: そうですね。卸業者さんには卸業者さんにしかできない販路がありますので、そちらと共存していきながら、個人の方にダイレクトに届くという小売の良さを活かしてさらにい草の良さを広めていければと思ってます。
待: はい。それでは、花ござインソールの他にも、花ござやラグ、ユニット畳など、様々な商品が松正さんにはありますが、今後の新商品や、会社の展望なども教えて下さい。
松: はい。会社としては、花ござの製造といえば「松正が一番」と、みなさんに言っていただけるように、これからも良質な花ござやい草商品をお客さまに提供していけるように努力していきたいと思ってます。
さらに、い草の良さや効能、花ござなどの商品を現代の生活の中にも活かせるように、スタイルの提案なども含め、いろんな国や世代の方に広めて行きたいですね。
そして、新規開発の方でも、自社での開発の他に、各方面の方々とお話をさせていただいて進んでいる物がありますので、今後どんどん形にしていきたいと思ってます。
待: はい。今後の新商品も楽しみにしています。
今日はありがとうございました。
松: はい。ありがとうございました。
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(株)松正
福岡県柳川市金納207-1 (地図)
TEL:0944-73-1252
https://matsumasa-hanagoza.co.jp/
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柳川ブランド認定品:花ござインソール
22.5cm~29.5cmまで8サイズ展開(1cm単位)色は9色展開
販売価格 : 1,265円(税込)
この記事は 令和2年6月24日現在 のものです。