こんにちは、特派員の江口です。
6月に入り、黄金色に輝く小麦の刈り取りが始まりました。麦秋です。
そんな麦畑の広がる両開橋本干拓地の一角に、赤貝(サルボウ)の貝殻を焼いてあるところがあります。地元では、「しろべ焼き」といって、漆喰の原料を作っています。
有明海で採れる赤貝の貝殻が、堤防沿いに2カ所山積みしてあります。
この赤貝の貝殻にコークスを1割程度混ぜて、窯で丸一日かけて燃やされます。
もろくなった貝殻を粉砕して、貝灰となります。
この貝灰が漆喰の原料となり、大和町にある田島貝灰工業所まで運ばれるので訪ねてみました。石灰の様な白い貝灰が、袋の中に入っていて山のように積んであります。
生漆喰の材料には、この白い貝灰と麻を粉砕したスサ、日本海側で採れる銀杏草を使います。
割れ防止にスサを混ぜ、粘りを出すのに銀杏草を茹でて5%ぐらい混ぜて、練り合わせるそうです。壁の漆喰には白いスサを、屋根用の漆喰には黒いスサを使うそうです。
こうやって出来た生漆喰や貝灰は全国の漆喰を扱う日本建築の業者へと出荷されます。
昔は柳川界隈だけで消費されていたそうですが、漆喰を使う日本建築も少なくなって、貝灰漆喰を扱う職人さんも少なくなりました。今では、貝灰を作る業者も国内で限られていて、全国からの注文に応じてあります。
漆喰には、石灰漆喰と貝灰漆喰の二通りがありますが、熊本城や姫路城の壁には、貝灰漆喰が使われています。
貝灰漆喰は二酸化炭素を吸収し、湿気に強くカビが出ず、殺菌作用もあり、消臭効果があり耐久性にも優れていて壊れにくいのだそうです。
また貝灰は強いアルカリ性で、殺菌作用があり、ミネラル分が多く天然なので土壌改良材にも最適なのです。私も畑の野菜作物などに使っています。それに焼き物の釉薬に使われると表面がキラキラとしたガラスのような工芸品になるとかも聞きつけます。色々と使ってみる価値がありそうです。
この日本古来からの貝殻を焼いた貝灰を改めて見直し、この伝統がここ柳川で息づいていることに深い感動を覚えました。
〒839-0242 福岡県柳川市大和町豊原943-3 『田島貝灰工業所』 0944-76-4305