地域特派員の江口です。
柳川の紅葉の代表格といえば、ハゼの木ですよね。冬になれば、葉も枯れ落ちて鈴なりのハゼの実だけが残ります。
このハゼの実がハゼ蝋となって、和ろうそくや口紅、クレヨンの原料になるということを知っていましたか?
以前、三橋町百町では、このハゼ蝋がたいてい天日干しされていたんです。
ハゼの実を見る度に、ハゼ蝋を干していた光景を思い出し、懐かしくてたまらなかったのですが、やっとハゼ蝋を干してあるところを見つけました。
ここ柳川市三橋町東百町の目野周平さんという人が、三橋町では一軒だけ、昔ながらのハゼ蝋を干してありました。とても懐かしい香りがします。
みやま市高田町の(合資会社)荒木製蝋さんから生蝋を仕入れて、濾過して木枠に入れてハゼ蝋を作ります。それをまた粉砕して、ハウスの中で一ヶ月半ほど干すのです。すると白い蝋となります。
ハゼの実から蝋になるところを、荒木製蝋さんに見せていただきました。
筑後市や久留米市、佐賀県、大分県、長崎県など九州一円から収穫されたハゼの実を荷揚げされます。このリフトに積まれたハゼの実から2割程度しか蝋にならないそうです。
まずハゼの実を脱穀され、ハゼの殻を燃料にして蒸気が流れます。
ハゼの実を粉砕して40℃の釜の中で2時間蒸すことで蝋が抽出されます。
100℃に溶解された蝋を60℃まで冷まして、どんぶり茶碗に注いで固形の生蝋を作ります。
生蝋を粉砕したハゼ蝋を、ハウスの中で一ヶ月半ほど干すのです。干すほどに白くなります。
干された白蝋をまた溶かし、臭いや不純物を取り除き、真空状態を通過させ遠心分離機にかけて蝋を抽出し、精製されます。
この精製された白蝋が外国や化粧品会社、鉛筆、クレヨン、和ろうそく等の製造業へと出荷されていくそうです。
手間暇かけて精製されたハゼ蝋は、純国産で希少価値が高いものなんですね。
このハゼの実を採る職人さんも少なくなったらしいので、もっとハゼ蝋の価値を見直して普及されたら良いですね。
柳川のハゼを見かけたら即収穫するような、誰か猿飛佐助の様な人はいないでしょうか?1キロ200円ぐらいで買い取りだそうです。
そしてビニールハウスがあれば、ハゼ蝋を干すのも一つの仕事になりますね。