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4月-2011

第3回市民公開講座『柳川ブランドを世界へ』

【柳川ブランドを世界へ】

講師:九州産業大学商学部商学科教授 山川 雅あき氏

【ブランドアイデンティティ】

ブランドにとって一番大事なのはブランド・アイデンティティという言葉に象徴される「イメージの源泉」です。これは、そのブランド名を聞いたときに何を思いだすか、作ってる側とそれを消費してる消費者との間で何を共有できるかという事です。そういうものがアイデンティティという言葉を通して語られるのです。アイデンティティというのは、自己同一性とか他者から区別される独自の性質や象徴などと訳されます。

 

【ブランドの構築】

ブランドの構築には3つのステップがあります。まず1番目に現状分析する。その中から将来の理想像をイメージし、アイデンティティ即ちブランドの核となる要素を開発する。そのアイデンティティをビジュアライズ、つまり目に見えるようにする、これが2番目のステップです。最後はビジュアライズされたブランド要素をブランドコミュニケーションとして、どう組織の内外へ浸透化を図り共有化してゆくかが課題となります。ここで重要なのは、インナーコミュニケーションです。往々にして組織内のコミュニケーションは外部に比して軽く考えられがちですが、ブランドコミュニケーションでは異なります。内部でアイデンティティを共有しなかったら、一体外部の人に何を発信できるでしょうか。組織内の機運をどう盛り上げられるかという点でインナーコミュニケーションというのは非常に重要なんです。地域も同様でどうやったらインナーの気持ちを盛り上げられるか、それが成功と失敗の分かれ目です。要するに中が盛り上がらないのに外が影響を受ける訳がないということです。

 

【本質サービスと表層サービス】

サービスマーケティングにおいては、リピーターが一番大事です。顧客s-DSC00411満足がポイントです。その顧客満足アップのために重要なことが2つあります。一つが本質的と表層的というサービス別の対応効果の違いです。二つ目は、顧客の経験価値を高める、この二つです。

左表は、サービスの満足度を示すグラフですが縦軸がサービスの満足度で横軸がサービスの充実度となっています。本質サービスは、ある一定の水準を下回ると、それ以降はマイナス評価が顕著となります。でも一定水準を克服すれば、満足度は充実度に比例して上がります。ところがある程度の充実度を超えると、満足度の伸びが止まります。例えば、タクシー会社でいうと、車もある程度きれいで、運転手もある程度気が利いていて安全であれば、売り上げは伸びていきます。しかし全体にその本質サービスが浸透すると、他と区別できなくなります。他のタクシー会社と本質的なサービスは変わらくなります。本質的なサービスで差がなくなると、今度は表層的なサービス合戦になります。これは、どんどん付け加える度に満足度は上がっていきます。本質サービスのように、ある程度で満足度が止まることはありません。サービス産業にとっては際限がなく、とても辛くなります。他のサービスはうちもしなければならない、さらにまた違うサービスを考えなければならない。表層サービスには終わりがありません。追いかけっこはずっと続きます。

 

【柳川の本質・表層サービス】

柳川の場合、本質的なサービスで水郷という切り口があるとしますと、多分本質的サービスにはいまだ充実させる余地は十分あると思います。掘割の整備、水質管理、舟の補修だとか、まだまだ改善する余地は大きいと思います。例えば観光舟に関して、船頭さんに女の方はなぜいないんでしょうか。堀も正直所々ゴミが溜まっていたり汚れているところが目につきます。柳川はまだ本質的サービスで満足度を上げることはできると思います。

舟やお堀に関して、市民レベルで本質サービスを上げることはできます。そして、表層サービスは、やはりアイデンティティというのがしっかりしていないと、どのような表層サービスに向かって行ったらよいかアイディアがでてきません。だから、最初のコンセプトやアイデンティティをきちんと作りあげなければならない。

そこに地域の皆さんの参加する第一歩があります。

 

【顧客の経験価値】

そして、二番目の経験価値。顧客の経験価値を高めることです。観光客を参加させる参加型観光が主流になりつつあります。ディズニーランドが典型ですが、どんなイベントでも良いので、なんらかの形で参加させなければならない。たとえば、ハワイのオアフ島なんかは米軍基地を除けば島ごとディズニーランドのようなものです。体験・経験というものをいかにデザインしていくかが大事です。参加型イベントのようなものを作って参加してもらう。体験し楽しんだ経験は強い記憶となって再び訪れたいと思う動機となり、彼らがリピーターになります。これが表層サービスを考えるときに大事な事となります。

 

【ブランディングのキーポイント】

潮流をつくるのはいつの時代も若い人だということを認識するのです。しかも若い女性です。若い女性を狙えば若い男性がくっついてきます。だから、どうやって若い女性にアピールするか、若い女性に支持された観光地というのは必ず成功してるんです。もうひとつ、今後の潮流を作ってくれるのはアジアのセレブでしょう。東京はここから800kmです。上海も800km弱です。ソウル500km、大阪500km、名古屋600kmです。そういうところに九州はあるんです。20年前は日本人がどんどんツアーで海外へ出ていっていましたが、同じ現象が今向こうでセレブの中で起こっています。「Look East!:日本に行こう!」になっています。アジアの中では日本はブランドです。「文字通りブランド品は全部揃っているし、車も良いし、ゴミひとつないきれな国だし」と、来てくれた人達が皆言ってくれれば大成功です。彼らはオピニオンリーダーとして帰国後たくさんの人たちに「ジパング」の旅行経験を語ってくれるでしょう。彼らをオピニオンリーダーとしてとらえ九州、柳川のファンになってもらう努力が必要です。そしてもう一つはスポークスパーソンです。例えば熊本県の観光部長、スザンヌはテレビという強力なメディアで「熊本県で4番目に偉いんです。知事さん、副知事さんの次です。」等話しており、熊本県の大変なスポークスウーマンになっています。または、日田出身の故筑紫哲也さん。彼は自由の森大学という学園を作って全国にPRされましたし、羽田健太郎は新潟県の小出郷でヤングピープルコンサートを行っている。こういうこの地域とつながりを持つ文化人芸能人を探しましょう。最終的には観光日本の売り物は既述してきたアイデンティティと、もう一つはホスピタリティーということです。日本のホスピタリティーは誠実さときめの細かさです。

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