こんにちは。特派員のツツミです。
引き続き海苔漁のお話、最後のvol.3です。

解禁日の朝6時。
船が一斉に有明海へ出ていきます。

いざ解禁!

気が急(せ)くようにエンジンは全開。
といきたいのですが、網を落としては大変。
速く慎重に、と微妙なバランスで進みます。
岸では、たくさんの網を積んで波立つ海を走る船を
家族が祈るような気持ちで見送っています。

たくさんの網を積んで慎重に、でも速く

網をたくさん乗せていて、見送る方はハラハラ

海の決められた場所で網を広げ、
貝から種(胞子)が出ていくのを待ちます。
網に汚れがつかないように洗ったり、
毎日海へ行って手入れを行います。

作業用の小型船を曳いていく船も

時折、網の一部を切り取って持ち帰り、
漁師たちが公民館や自宅に集まって
共同で買った立派な顕微鏡で
種がちゃんと網についたかどうか、調べます。

網に種がついたら、培養した貝は不要となるため
袋ごと網から取りはずさなくてはなりません。
そのタイミングが収穫量を左右します。
年々のデータが頭に入っているとはいえ、
そのときの気温、天気、潮などが複雑に関係し、
自然相手の仕事というのは難しいものです。

芽が少し伸びたら、
網の多くを海から引き揚げ、冷凍庫に保管します。
海に残された網の芽は秋芽(あきめ)と呼ばれ、
約1カ月後に真っ黒な海苔を収穫できます。

最初に獲れた一番海苔を「はな海苔」と呼んでいます。
少々歯ごたえがあるものの、風味たっぷり。
それが秋芽の良さであり、高値で取引されます。

何度か摘んで収穫量が減ったり
赤潮などで芽が腐ったりすると、冷凍保存した網と取り替えます。
この網から獲れる海苔は冷凍と呼ばれ、やわらかさが特徴です。

干満の差の大きい有明海では、網が海水に浸からない時間があり、
海苔が太陽の光を十分に浴びているから美味しいと言われます。
さらに、夜に摘んだほうがやわらかいとも言われます。

前日、船に積み込んだ時の漁港。ほぼ干潮ですね

解禁時間の潮の高さがこれ。干満の差は大きい

そのため、海苔漁師は網の高さを調節したり、
夜中に海に行って芽を摘んだりします。
海から帰れば、乾燥させて板海苔にする作業が待っています。

多くの人は、漁師が摘んできた海苔を加工会社が買い取り、
会社が工場で板海苔にしていると思っていますが、
実は漁師が海に行き、自宅そばの小屋で
板海苔に仕上げて組合に納めているのです。
その後、入札を経て加工会社や商社の手に渡り、
スーパーで販売されたり、コンビニのおにぎりに使われたりします。

どんなに良い芽でも、乾燥がうまくいかなかったら
等級はガクンと下がります。
海苔が厚かったら歯触りが悪い。
表面がくもっていたら見た目が悪い。
端が少し欠けていてもダメ。
その日の天候を見ながら乾燥機械の温度や湿度を調節し、
美しい一枚の海苔に仕上げていきます。

組合に出す際は生産者の名前入り。穴が開いたり、端がちぎれた海苔は赤い紙で巻いて組合へ

種を育て、芽を育て、夜中に摘み取り、
乾燥までは気が抜けません。大変ではありますが、
等級の高い、美味しい海苔が出来た時は極上の喜びです。

4月頃まで続く海苔漁もいよいよ終盤。
「福岡の海苔はやっぱり美味しいね!」と言ってもらえるよう、
海苔漁師たちはもうひと頑張りします。

船を見送った後、向こう岸には太陽が昇り、
振り返ると満月が残っていました。
長い話にお付き合いいただき、ありがとうございました。

なお、今、柳川市内で板海苔体験や
海苔料理教室(水郷柳川ゆるり旅)が実施されています。
どうぞご参加ください。

船が出て静かになった漁港に差す朝日

振り返れば、まん丸の残月が

板海苔づくり体験

 

海苔を使った親子料理教室

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